記憶の桜 -花空残夢-


「今は2人きりだぜ?恥ずかしがる事ねぇだろ」




「…っ」




そう耳元で囁くと、俺は涼の髪紐を解いた。




「まさか、髪を切るとはな…」




涼の綺麗な髪を梳きながら、ぽつりと呟いた。




髪は女の命だ。




こんな事をしたのは予想外とは言え、俺のせいで髪は短くなってしまった。




「髪はまた伸びるから良いんです。それに、私にとって、貴方の傍に居る方が大事なんです」




涼はそう言って、笑った。





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