記憶の桜 -花空残夢-


私は愁と別れ、土方さんと一緒に釜屋に向けて歩いていた。




「弟と一緒に行かなくて、良かったのか?」




「はい。私は新選組に居たいんです」




土方さんの問いに笑顔で答えると、彼はそれに答えるように小さく笑った。




自分でも分かる程、私は顔に熱を持って行く。




すると、彼は私の顔を見ず、ぽつりと呟いた。




「お前が一緒に暮らすって言わなくて、良かった」




彼の言葉で更に顔に熱を持って行った。





< 28 / 274 >

この作品をシェア

pagetop