記憶の桜 -花空残夢-
私は愁と別れ、土方さんと一緒に釜屋に向けて歩いていた。
「弟と一緒に行かなくて、良かったのか?」
「はい。私は新選組に居たいんです」
土方さんの問いに笑顔で答えると、彼はそれに答えるように小さく笑った。
自分でも分かる程、私は顔に熱を持って行く。
すると、彼は私の顔を見ず、ぽつりと呟いた。
「お前が一緒に暮らすって言わなくて、良かった」
彼の言葉で更に顔に熱を持って行った。