記憶の桜 -花空残夢-
「トシ、俺はもうお前の苦しんでる所は見たくないんだ…」
「俺は苦しんでねぇ!俺は…、俺は近藤さんを…っ」
「それにな、もう戦う事には疲れたんだ…」
「…っ。くっ…」
土方さんは悔しそうに唇を噛み締め、下を向いた。
そんな彼の頭に近藤さんは手を乗せた。
「トシ、今まですまなかった。それと、ありがとうな」
近藤さんは土方さんから視線を上げると、私の方を見た。
彼の顔は仲間を…、大切な友の為に決心したように清々としていた――。