記憶の桜 -花空残夢-
夜が更けた頃。
がさっ。
物音を耳にし、私は目を覚ました。
敵兵が近くに居るのかと、物音のした方に視線を移す。
「土方さん…?」
そこに居たのは敵兵ではなく、土方さんだった。
彼は小陰に向かって歩き出していた。
私は土方さんが何処に行くのか気になり、後を追う。
でも、歩くのが速い彼を私は、途中で見失ってしまった。
辺りを見渡していると、木に寄りかかり、顔を伏せている土方さんを見つけた。