記憶の桜 -花空残夢-


「沖田さん、入りますよ」




中に入ると、沖田さんは少しだけ身体を起こした。




「久し振り、涼ちゃん。…土方さんも一緒ですか」




「俺も居て悪かったな」




「悪いとは言ってませんよ。ただ、珍し――、ゴホッ、ゴホッ!」




沖田さんは言葉を切ると、激しく咳込み出した。




「沖田さん!?」




「家人を呼んで来る」




土方さんが家人を呼びに行っている間、私は彼の背中を摩っていた。




< 6 / 274 >

この作品をシェア

pagetop