記憶の桜 -花空残夢-


「なるべく早く居場所を割れ」



動揺を悟られないように命じると、斎藤は一礼し、部屋を出て行った。




「くそっ…」




あいつに行かせるべきじゃなかったか…。




俺は布団を強く握り締めると、開け放たれた出窓から空を見上げた。




不安で仕方ない。




理由は分からないが、あいつの安否を考えるだけで気が気じゃない。




いつから俺はこんなに臆病になったのだろうか…?






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