蒼色キャンディ
天使とエイメルは屋上の入口に向かって走った。
途中でエイメルが振り返り、慌てて止まった。


「なっ……!?」
「伏せてっ!!」


急に止まって後ろに引かれた直後、天使は前に突き飛ばされる。
二人が倒れ、悪魔のツルが空を裂いた。


「大丈夫でS「聴く前に走れっ!!!!」


無理矢理手を引かれて、エイメルは半ば引きずられながら走る。

悪魔はそんな2人を容赦なく襲う。


「あいつはどうするんですか!?」
「倒せるなら倒したいけど……あたしの武器じゃ効かないんだ」


天使は小さく舌打ちをする。

屋上はそんなに広くないため、悪魔のツルはほとんど全域に届いてしまう。


「ちくしょう…何もできないなんてっ…!!」
「……!」


ふとエイメルは言葉を思い出した。





『いいかいエイメル。何かあったら……』





「そうだ……」
「エイメル?」

天使が訝しげな顔をする。
エイメルが決心ついた様な顔を作ると天使を離れに突き飛ばす。


「エイメル!?」
「行ってください!!」


エイメルは手を左耳に重ねた。

……詳しく言えば、左耳のピアスに

「お前何する気だ!?武器のないお前に一体何がっ…」


「大丈夫……『空と海と大地に光り輝くは強き意思』………」


エイメルの紡ぐ言葉に天使は顔をしかめるしかなかった。
聴いた事など、なかったからだ。

紡ぎ謳と共に、ピアスにはめられた碧い宝石が光を放った。






「我は問い、『太陽の光と月の影』の解を知る者なりっ!!!」



エイメルの言葉と共に、地面から光が上がった。







優しい……………青色の光が








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