蒼色キャンディ
「光が持たないんだ……奏!早くここから逃げて!」

「だっ…だめ…!私だけじゃ翔を連れていけないっ……!」


ぐったりと倒れている翔は目を覚ます気配がない。
悪魔が抜けてから全く動かないのだ。


「翔は大切な友達なの!置いていけない!」


そう言っている間に亀裂が大きくなっていく…

エイメルが小さく奏に言った。


「じゃあ奏、壁が壊れたらあの天使を呼んで逃げて!」
「エイメルだめだよ!エイメルがやられちゃう!」

「僕も恐いよ!でも…僕は奏を守る天使なんだ!!」


エイメルが奏の前に立つ。


「だから…早く逃げて!」
「エイメルッ!やめて!!」


パキィーンっと透き通った音がして加護の光は砕けた。


『ぎゃうっ』

「奏に手をだすなー!」
「っ…手伝って!赤い子!」


翔と奏は天使に助けられ、その場を離れる。
奏が走り出そうとするのを天使が止めた。


「離して!」
「あんたに何が出来るんだよ!あんたは人間だ、私達天使とは違う!」


天使は矢を射ったが悪魔の体に弾かれる。


「うわぁっ!」


とうとう悪魔に振り払われてエイメルが地面に落ちた。


「あぅ…ぅ……」
『ぎゃぅぅぅっ!!!』


悪魔が凶悪な爪を振り上げた。


「エイメル!」
「いやっ!エイメルーーっ!!」


奏が叫び爪が振り下ろされようとした、その時








「聖神剣、『舞』!」





悪魔の動きが止まった。



エイメルの前には一人の人物。




「やぁ、遅れてすまなかったね」


その天使は小さく微笑んだ。



< 31 / 37 >

この作品をシェア

pagetop