蒼色キャンディ
奏は体から熱が引いていくのを感じた。


「確かに探しているのはその人です…あっ!もしかしてその人と友達だったりしますか…って……」


彼は言葉を失った。

奏は力が抜けてその場に座り込む。


「ど…どうしたんですか!?大丈夫ですか!?」
「……ない」


微かな声は聞き取れなかった。

ただ、奏が泣いている事が彼にも不安を与えたらしく、少しおどおどしていた。。


奏は微かに言う。


「やだ…私、まだ死にたくない……」


「…………え?」


その言葉に彼は驚いた。


「…あの何か勘違いしてません?」
「……え?」

奏は彼を見つめた。


「僕達…天使の仕事は人の一生を見守る事…つまりその人を幸せに導く事が僕達のお仕事です」
「そ…うなの…はぁあ…よかった…」

奏が泣き止むのを見て、彼も笑顔を見せる。

そして続けた。


「僕が受けたお仕事は、この『乙葉』と言う人の家族の方が一人、天界に来たんです。人は誰かがいなくなれば強く傷付いてしまいます」

「…」


彼の言葉はまるで奏を指しているようだった。
そして奏が予想した通りの答えが帰って来た。


「残された家族の方の幸せを見守る。これが僕のお仕事です」




奏は笑顔をつくったが、再び涙が零れた。





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