彼の瞳に捕まりました!


「座れば?」

立ち尽くして動かない私に、彼は事なげにそう言う。
その言葉に力が抜けたようにイスに座り込んだ。

そんな私に、高瀬君は意地悪そうな瞳を真剣なそれに変えて
ゆっくりと話しだした。

「顔がキレイとか、目立つとかだけじゃダメなんだ。
なんていうか……心に来るもんがないとダメっていうか」

「何それ……わけわかんない」

「俺が撮りたいっていうか……心惹かれたっていうのかな

麻生のその真っすぐな瞳を撮りたいって思った。だから、撮らせてくれない?」

「いやよ」

間髪いれずに断りの言葉を放った私に、高瀬は面白そうに肩を揺らした。

「予想的中」

「じゃあ、諦めて」

「いやだね。っていうかあんたは拒否できないよ」

やけに自信満々な態度に苛立ちが募る。

「わけわかんない」

吐き捨てるように言った私に、高瀬はぐっと身を乗り出して耳元で囁いた。





< 11 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop