彼の瞳に捕まりました!
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社長にきちんと気持ちを伝えてから、2ヶ月が経っていた。
秋も深まり、朝晩は何か羽織る物が必要になった。
だけど、ファッション誌の撮影は季節を数ヶ月先取りしたものばかりで、春先の柔らかな色のブラウスにフワフワとした生地の薄いスカートをはいたモデルさんが、まだ人気のないアウトレットモールで笑顔を見せていた。
アウトレットモールが開店するまでのわずかな時間に撮影を終えなくてはいけない為、皆慌ただしく動く。
そんな中、空気を読めない子が一人。
のんびりとベンチで缶コーヒーを飲み込んでいる。
「サトコちゃん、あっち手伝って」
指さす方には、手際よく洋服を着替えさせるスタイリストさんと、メイクを直すマサル君。
移動の車の中で、
「スタイリストさんについててね」
そう言った私の言葉をサトコちゃんは忘れたらしい……
「えー?私、行成さんの助手がいいなぁ」
缶をベンチに置き、頬を膨らませる彼女。
そんな彼女にため息が漏れた。
「じゃあ、高瀬を手伝って」
感情を押し込め、その一言を言うと、マサル君達の方に急いだ。