彼の瞳に捕まりました!
「ごめんね」
そう言って、あらかじめ用意しておいたアクセサリーをスタイリストさんから受け取り、着替えを終えたモデルさん達につける。
準備が出来た人から、高瀬に写真を撮ってもらう。
そして、また着替えに戻る。
先ほどまで着ていた洋服をハンガーにかけながら、思わずため息が漏れた。
「いや~ねぇ、ため息なんかつかないでよ」
商売道具の大きなメイクボックスの中に使ったコスメを戻しながら、マサル君が嫌そうな声を出した。
「あ、ごめん」
「別に、私の幸せが逃げるんじゃないからいいんだけど。
ため息嫌いなのよね」
「うん、気をつけます」
「何かあったわけ?」
いつになく真剣な声で、マサル君が問う。
その問いかけに、何も答える事が出来ず、ただ苦笑いを浮かべた。
そんな私に、マサル君はあきれたような表情を浮かべ、
「今夜、ひま?」
「へ?」
「ヒマでしょ?」
「えっと……多分大丈夫です」
語尾がだんだんと小さくなっていく私に、マサル君は意地悪な笑みを浮かべた。