彼の瞳に捕まりました!


撮影を終えて社に戻ると、次の企画の準備に追われる。
高瀬は撮ってきた写真を確認して編集。
サトコちゃんは、編集長と企画の会議へと向かって行った。

今日の移動は大人数だったから、高瀬がハンドルを握る事はなくて一番後ろの席に座ると窓によりかかって目を閉じていた。
サトコちゃんは、そんな高瀬の隣に座ると、目を閉じた高瀬にお構いなしに話しかけていた。
今日に限って車に同乗したマサル君が、そんなサトコちゃんを見ては、私の洋服を引っ張っていた。

あの日ーーー
サトコちゃんが高瀬に暗室で迫っていた日から、彼女の高瀬に対する行動はどんどんエスカレートしていくように思える。

それは、編集部の誰が見ても明確なようで、木村さんが露骨にいやな顔をしては、私を見つめてため息をついていた。

「ねぇ、麻生」

コンビニから戻ってきたのだろうか、ビニール袋から缶コーヒーとチョコレートを取り出し私のデスクに置きながら木村さんが呼びかけた。

「あ、ありがとうございます」

「……誰があげるなんて言ったのよ。違うわよ」

あきれたような声を出しながら、木村さんはサトコちゃんの椅子に座ると私の隣に並んで座った。




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