彼の瞳に捕まりました!
「山崎の事なんだけど」
「サトコちゃんですか?」
チョコがたくさん入っている袋を開け、中から数個のチョコを私の掌に押し付けるように渡すと、木村さんはチョコを嬉しそうに口にして頷いた。
「山崎もだし、高瀬も」
その言葉に、貰ったチョコの包みを開けていた手が止まった。
「高瀬もですか?」
「も」
木村さんは、コーヒーを飲み込むと、少しだけ顔を寄せた。
「他人の恋愛に口出しする気ないけどね」
吐き捨てるようにそう言った彼女は、大きく息を吐くとチョコレートを口に入れて、今度は幸せそうに息をはくと私の顔をじっと見つめた。
「麻生はさ、どう思ってる?」
「どうって?」
「高瀬と山崎…」
呆れたようにため息をつく木村さんに苦笑いを浮かべると、チョコレートの包みを開けて口に押し込んだ。
高瀬とサトコちゃん。
二人の関係なんて……私には関係ない。
関係ないんだ。
自分に言い聞かせるように何度も確認して、口を開いた。
「二人の関係の事は私にはよくわからないですから」