彼の瞳に捕まりました!
その後、今の部署に異動してくるまで高瀬とかかわる事がなかったから……キスなんてしなかったけど。
ワインに酔いつぶれた私をわざわざ自宅に泊めてくれた彼と、また唇を重ねた。
その後はーーー
いつの間にか高瀬の好きな時にキスされていたような気がする。
「なんで、拒まなかったんだろう」
ぽつりとつぶやいた私に、マサル君はグラスの氷をカランと鳴らしながら、
「気づいてるくせに」
と意地悪な声を出した。
「カマかけただけなのに、真っ赤な顔で考えこまないでよ。いつまで純情ぶってるわけ?麻生ちゃん、処女じゃないんでしょ」
「ま、マサル君?」
「なんでそう頑なに否定しようとしてるのかが、わからないし、イライラするわ」
頑な?
「まさか、気付いてなかったとか?」
呆れたように大きくため息を吐き出してマサル君はクミコさんにおかわりを告げる。
そんなマサル君を見つめながら思う。
私、いつから?
いつから、
高瀬の事……