彼の瞳に捕まりました!
「うん、麻生ちゃんってバカよね」
間髪いれずにマサル君はそう言って、
「気がついたついでにぜーんぶ話しちゃえば~楽になるわよ~」
「ついでって……」
「何事も勢いが大事なの。
そおねぇ、じゃ、社長とどうなったのか聞かせなさいよ」
興味津津な瞳で私を見つめるマサル君。
「社長……って、あさかわの?」
「何よ、他の社長にも言い寄られてんの?」
「他の社長って、言い寄られてないよ……浅川社長にも」
「嘘!」
ウイスキーのグラスをテーブルに置いて、マサル君は怒ったような声を出した。
「麻生ちゃん。今ここで私と話そうと思ったのってなんでよ」
「……マサル君が開けろって言ったんでしょ?」
「でも、会おうって決めたのは麻生ちゃん、あなたでしょ?」
「そうだけど……」
「じゃ、なんで?」
なんでって……
まっすぐに見つめたままのマサル君から一度視線を外して、テーブルに置かれたままで汗をかいているグラスを取ると中身を一気に飲み込んだ。
「マサル君に聞いてほしいって思ったから……だけど」