彼の瞳に捕まりました!
それは、高校3年生の時。
仲の良かった友人のバイト先での事、
彼女のピンチヒッターとして、1日だけしたメイドカフェのバイト。
本当は笑わなきゃいけなかったんだけど、どうしても笑う事が出来なくて……
曖昧な表情を浮かべていた。
けれど、それが逆に受けたらしく、
写真を撮って行く人がいっぱいいたのを覚えている。
目の前で笑う男が、何故この写真を持っているのか……?
疑問が自身の動揺に変わるまで、そう時間がかからなかった。
そんな私に、高瀬は鼻で笑うと、
「ずいぶん無愛想なメイドだよな
そこが、逆にそそるのかも知れないけどな」
そう言って、大事そうに写真をしまった。
「なんで?なんでその写真が……私だって思うのよ……」
苦し紛れにそんな言葉を出せば、彼はあからさまにため息をつく、
「あんた、自分がどんだけ目立つか知らないのかよ……。
で、どうする?」
上から見下ろすかの様な言葉。
その態度に、黙って睨みつけた。
そんな私を気にするでもなく、高瀬はフッと笑うと、
これ以上ないくらい、低く掠れた声を出した。
「拒否権ないくらい、わかってんだろ?ナホ」
くっくっくっ
と、肩を揺らしながら楽しげに笑う目の前の男。
なんだか負けたくなくて、勢いよく立ち上がると、
少しだけ驚いた顔をした高瀬に言い放った。