彼の瞳に捕まりました!
「多分その日はね」
小さな声で話し出した私の事を、マサル君はじっと見つめた。
そんな彼の瞳を見つめかえして、言葉を続けた。
浅川社長と会ったこと。
苦手な日本酒を注がれるまま飲んで、酔うだけ酔ったこと。
帰り際にキスされたこと。
夢で誰かにキスされたこと。
すごくすごく優しくて、
すごくすごく幸せだったこと。
それから……
暗室で高瀬とサトコちゃんのこと。
話し終えて、なんだか淋しくて仕方なかった。
私、高瀬に酷い事ばかりしてた。
そんな私に高瀬が愛想つかすなんて当然だ。
サトコちゃんに言い寄られて、そういう関係になってしまっていたとしても、何の文句も言えない。
自分が情けなくて、
みっともなくて……
涙が溢れた。