彼の瞳に捕まりました!
「やだ、何?麻生ちゃん泣いてる?」
テーブルに置かれたナプキンを顔に押し付けながら、マサル君は焦った声をだした。
「ごめっ…なんだか自分がすごく情けなくて……こんなんじゃ愛想つかされても文句言えないなって……」
言葉にすればするほど、自分の身勝手な感情が情けなくて悲しくなった。
なんで、私。
なんで?
その言葉だけがぐるぐると頭の中を巡っている。
「もうっ、麻生ちゃん。シッカリしてよ」
マサル君が手にしていたナプキンを私の顔に投げつけると、テーブルを数回叩いた。
「何それ?悲劇のヒロインのつもり?
本当に干物は、今まで何回そうやって悲劇のヒロインぶったのよ。
麻生ちゃん何にも始まってないから、勝手に終わらせない」
ピシャリと言い放った彼は、私の鞄に手を伸ばすと中から携帯電話を取り出して私に突きつけた。