彼の瞳に捕まりました!
無機質なコール音が何度も響く。
よくよく考えれば、もうすぐ日付の変わる時間。
もう寝ているかも……
そんな事が頭の中を過った。
あと、5回鳴らして出なかったら電話を切ろう。
そう自分に言い聞かせて、コール音を数える。
1回、2回……
出て欲しい。
でも、出てほしくない。
そんな思いが交錯する。
4回…………
5…………
5回目の途中、
コール音が止んだ。
「…………はい?」
聞こえてきた声に、心臓がどくりと音を立てる。
身体中の血がさあっと引いていく。
電話を持つ指先が震えるのを感じた。
「…………」
「麻生、センパイ?」
高瀬じゃない甲高い声。
迷惑だと言わんばかりに不機嫌な感じで私の名を呼んだ。