彼の瞳に捕まりました!


マサル君はハァとため息を吐き出すと、

『あの娘が泣きついて離れなくなった時、何も言わないの。
ただ黙って彼女にされるがままよ。
今までそんな行成を見たことないわ』

「……」

『きむちゃんが解決した後も、あの娘に何か言う事もなかったわ。
麻生ちゃんがヘマした時には何かしら言ったりしてたと思ってたんだけど』

私が失敗した時、確かに高瀬は他の誰かが言う前に、
「たるんでるな」
みたいな言葉をかけて、その後現場の雰囲気が悪くならないようにブラックジョークを言っていたと思う。

先輩ではない、同期の高瀬に言われるのが悔しくて次は絶対にしてやるもんかって思ったりする。

私に厳しく言う以上に自分に厳しい彼が、今回のサトコちゃんのミスに何も言わないというのは、確かにおかしいかもしれない。

< 152 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop