彼の瞳に捕まりました!
申し訳程度に仕切られた小さな喫煙ブースの中で外を眺めながら煙草を吸う高瀬。
普段とさほど変わらないように思えるその姿。
だけど、
何かが違う。
そんな風にも思える。
それは、もしかしたら、私が気にしすぎているからなのかもしれないのだけど……
「失礼ですが、カメラマンの大沢憧さんですか?」
『はい。カメラマンの大沢です。
突然、申し訳ありません』
「初めまして、麻生菜穂と申します。
あの……高瀬にではなくて、私でよろしいのでしょうか?」
今までなんの関わりもない私。
学生時代にお世話になっていた高瀬に電話のほうが納得がいく。
『はい。高瀬にではなく、麻生さん。あなたとお話したいことがあって、電話をしています』
「お話、ですか?」
『はい。行成の事で』
大沢さんの口からこぼれた言葉に心臓が大きな音をたてた。