彼の瞳に捕まりました!


大沢さんと約束した場所は、彼のスタジオがあるビルの一階にあるカフェ。
約束の時間の少し前に、その場所につくと、窓際の席に座る大沢さんと目が合った。

以前、あさかわで偶然会った時と同じように黒のベストを羽織った彼は、私の姿を見つけ、頭を下げた。

そんな彼に頭を下げると、急ぎ足で入口に向かう。
ガラスのはめ込まれた木製のドアを開けると、ドアベルが心地よい音をたてた。

「いらっしゃいませ」

小柄なエプロン姿の女性が笑顔で私を向かえてくれた。

「こんばんは」

頭を下げた私に彼女は、

「大沢と待ち合わせですよね」

と、はっきりと言った。

「はい。麻生です」

「大沢がわがまま言ってすみません。妻の和美です」

深々と頭を下げた彼女にもう一度頭を下げると、店の奥に移動していた、大沢さんが呆れたように声をかけた。

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