彼の瞳に捕まりました!
「挨拶はいいから。
麻生さん。今日はありがとうございました」
と、頭を下げた。
彼につられるように頭を下げると、彼は奥のテーブルを指差した。
「狭いですが、どうぞ」
「ありがとうございます」
脇に立つ和美さんに、もう一度頭を下げると、奥に足を進めた。
そんなに広くない店内、テーブル席が3個。
カウンター席が3席。
アメリカンカントリーの雑貨が素敵な店内は明るい雰囲気だった。
「素敵なお店ですね」
椅子に腰掛けながら、目の前に座る大沢さんに言葉をかける。
彼は照れ臭そうに頭をかくと、
「和美の趣味なんです。
自分の仕事が忙しくてあまり構ってやれなくて、彼女がやりたがっていた喫茶店を始めることをすすめたんです」
「そうなんですか。
奥様を大切に思ってらっしゃるんですね」
私の言葉に大沢さんは、カウンターの奥で作業をする和美さんを見つめるとゆっくりと首を振った。