彼の瞳に捕まりました!
2
高瀬行成と再会したのは、入社式だった。
新入社員代表として壇上に立ち、堂々と挨拶をするその姿に、
言葉を失った。
だって、
高瀬は、
有名カメラマンのアシスタントに早々に内定が決まった。
3年生の夏休み明けにそんな噂が、大学中に広まったから……
そして、その噂を確信にするかのように、高瀬の悪い噂が流れてこなくなった。
だから―――
まさか、この場所で、
こんなふうに、再会するなんて……
全く想像していなかった。
とは言え、カメラマンと編集者。
研修の内容も違ったし、
配属先も、運良く違って。
同じ会社で働いているとはいえ、顔を合わせることはほとんどなく、たまに同期の口から、
「今日、一緒の現場だった」
とか、
「高瀬の写真に原稿つけた」
とか、そんな話しを聞くくらいで、自分が高瀬と関わるだなんて、全く想像すらしていなかった。
だけど、それはやって来る。
入社して5年。
お互い、仕事にがむしゃらさよりも、少しだけ余裕ができて来はじめた。そんなある日。
新しく出版する、40代のミセス向けの雑誌。
『GARNET』
その編集部への移動の辞令が下された。