彼の瞳に捕まりました!


「何、ため息なんかついてんだよ」

いつの間に来ていたのか高瀬が呆れたようにおでこを指で弾く。

「いったぁい」

「ほら、いくぞ」

おでこを擦っていた私の手を掴み、高瀬はエレベーターホールに向かった。


「何食うか決めた?」

エレベーターに乗り込み、一階のボタンを押した高瀬は、そう言いながら私の顔を覗きこんだ。

繋がれたままの手。
まるで心臓がそこにあるかのように、掌が震える。

「顔、赤いぞ?」

クスッと笑いながら、高瀬は私の頬を一撫でした。

「あ、暑いからじゃない?」

「そうか?
耳まで赤いけど?」

耳のフチを撫でながら、高瀬は顔を耳許に寄せた。

「首も赤い」

肩を震わせ、指をゆっくりと下に下げて行った。
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