彼の瞳に捕まりました!
「からかうのやめて……」
うつむき囁いた私に、高瀬は握りしめた掌を握り直す。
「からかう?って、誰が?」
握りしめた掌を口許に寄せ、リップ音をわざとたてながら、キスをした。
その行為に、心臓が跳ね上がる。
「意地悪」
なんだか悔しくなって、高瀬を睨みながら言うと、彼は少しだけ目を丸くして、
「心外だな。こんなに優しい男、他にいるかよ」
そう言って、笑った。
「意地悪だよ。高瀬は」
語尾を強めて、再度言った私に、
「人の事言えねぇだろ。ナホは」
呆れた視線を向けながら、高瀬はもう一度、掌にキスを落とした。
「意地悪ナホちゃん。何、食う?」
掌に唇を寄せたまま、高瀬はにやっと笑った。