彼の瞳に捕まりました!
行成は私の手をそっと離すと、隣に座り直した。
「親父が事故にあって、家族を守る為に会社員として働く事に決めた。
大沢さんの後ろ楯もあって、カメラマンとして働く事が出来るようになって、色々な写真を撮るうちに、戦場だけにこだわる必要はないだろう。って思うようになった」
「……」
「もちろん、戦場の凄まじさや、そこに生きる人々の姿を撮りたい。そんな思いもあるけどな」
まっすぐ前を見つめて話す行成に声をかけられなかった。
今まで葛藤してきただろう思いや、諦めた物、乗り越えた事を思ったら何にも言葉にする事が出来なくなった。
「ファッション誌の写真を撮るのも楽しいぞ。
綺麗にメイクされて、色とりどりの洋服を着て、ガンガンに照明を当てられたモデルさんをさ、雑誌を読む人達が素敵だなって、思える様な写真を俺が撮る。
責任重大だろ?」