彼の瞳に捕まりました!


「あの日の写真は、出せなかった」

ソファーから立ち上がり、私の手を引くと、リビングから出て隣の寝室へと足を進めた。

棚に置いてあるカメラ。
その奥にあった箱を取り出すと、床の上に中身を並べ始めた。

いつだって鮮明に思い出せる、あの日の出来事。
その日の私が並べられる。

「最初は良かったんだ」

睨むような視線。
行成に言われるままに視線が様々な方向を向いてーーー

ベッドに横たわる、私。

その表情は、私も見た事のない女の顔だった……

「こんな顔、他の奴に見せられる?」

その問いかけに、思いきり首を横に振った。

「だ、ダメ」

「だろ?これは俺だけが見ればいいんだ。そう思って、あの写真を出したんだ」

行成は大切そうに、写真を箱の中に戻すと、棚にしまった。





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