彼の瞳に捕まりました!
「菜穂は酔っぱらうと子供みたいになるぞ」
両手を頬にあて、ゆっくりと胸から顔を持ち上げながら彼はおかしそうに言う。
「……うぅぅ」
「キスどころか、その先まで強請って……」
「う、うあぁぁぁ」
その先って、その先って……
「ちゃんと、おねだりしたから。ご褒美あげようって……」
意地悪な眼差しを向けながら話す行成。
次に出てくる言葉が、怖い。
でも……
抱かれた記憶がないなんて……
「なったんだけど」
「だけど?」
「お前、熟睡してさ。
何しても起きなかったから、しなかった」
し、しなかった。んだ……
その言葉に、ほっとしたのか残念なのかよくわからない感情が湧き出て、思い切りため息をついた。