彼の瞳に捕まりました!
目が覚めると、目の前に鎖骨があった。
規則正しく聞こえる呼吸音。
少し、視線を上げれば喉仏と顎にうっすら生えたひげが見えた。
もぞもぞと手を動かし、ひげをそっとなでると、くすぐったいのか顔を数度振った。
「いたずらはやめろ」
かすれ声が頭上から響いた。
「え?……起きてるの?」
「寝てたのは、お前だけだよ」
呆れたようにそう言うと、行成は身体を起こしてベッドの脇に置いてあった煙草を手に取った。
枕にもたれかかるように、ゆっくりと煙草を吸う行成。
あたりまえだけど、何も身につけていないその身体に、ドキドキと鼓動が早まって、思わずかかっていたタオルケットを頭からかぶってしまった。