彼の瞳に捕まりました!
「菜穂」
さっきまでと違う、真剣な声。
その声に、覆いかぶさったままの行成の顔をじっと見つめた。
「何?」
「中東に行く。
大沢さんと一緒にじゃないけどな」
「え?」
突然の事に、言葉が続かない。
そんな私に、彼はほほ笑むと唇にちゅっと音を立ててキスを一度して
私を起き上がらせた。
「中東というか、海外に行くんだ」
海外に行く……?
「どういう事?」
「来月、辞令が出る。
一年間、研修を兼ねて海外赴任になった」
一年間?
海外赴任……?
「え?え?……」
バカな子供みたいに、同じ言葉しか出てこない。
そんな私に、行成は優しくほほ笑んでゆっくり説明し始めた。