彼の瞳に捕まりました!
13


「麻生。
お待ちかねだよ」

そう言いながら、庶務課に勤める同期の村松がデスクに書類が入っているであろう、社名入りの茶封筒を無造作に置いた。

「別に待ってないんだけど……」

茶封筒から視線を村松に移すと、彼女は1通のエアメールを胸元で振っていた。

「これは待ってたでしょ~」

舌をだしながら笑う彼女にちょっとだけため息を吐きながら手を伸ばすと、彼女は反対の手をスッと出した。

「何?」

「何って、この私がよ。
庶務課のアイドルの私が、ワザワザこうやって手紙を届けに来てんのよ。
わかるでしょ?」

「何言ってんのよ。
お局様の間違いでしょ」

ため息交じりにそう言って、エアメールを取り上げると差出人を確認した。

癖のある字で書かれた名前。
その文字に頬が緩むのがわかった。

「露骨に表情変えないでよね」

呆れたように言いながら、彼女は隣のデスクの椅子に当たり前のように腰かけた。

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