彼の瞳に捕まりました!


「何してんの?村松……」

「何って、さっさと開けて」

「あんた、関係ないでしょうが。
早く戻んなよ」

シッシと手を振る私に、村松は眉間に皺を寄せて、

「関係あるでしょ。差出人は同期のイイ男なんだから」

「……新婚の旦那に話すわよ」

「おあいにく様、うちの旦那様はこれくらいじゃ何とも思いません」

うらやましいでしょ~。
と鼻歌を歌うように彼女はそう言うと、引き出しから鋏を取り出した。
そんな彼女に大きくため息をつくと、鋏を受け取り封を切った。

「今回はどこの?」

「さぁねぇ~どこだろうね?」


行成が海外に赴任してから、
毎月一通だけ送られてくるエアメール。
中には写真が一枚だけ入っている。

その場の風景や、そこに生活する人の写真。

彼が見た景色や人々を共有できた感じで、元気を分けてもらえる大切な宝物だ。


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