彼の瞳に捕まりました!
直後、左手に冷たい感触。
「な、何っ!?」
行成の指に絡まっていた手を引き抜き、じっと見つめた。
「これ……」
左手薬指に光る指輪。
繊細な模様が施された銀色の指輪。
行成はそれを大切そうに撫でると、自分の左手を出した。
「同じ?」
「そ。意味わかるだろ?」
私の左手をグッと引き上げながら行成は身体を起こすと、もう一度同じ言葉を言った。
「ちゃんと言って……」
行成の左手を握りしめ、真っ直ぐに見つめる。
ちゃんと聞きたい。
言ってほしい。
「我が儘だな」
困ったように少しだけ笑うと、行成は真剣な眼差しを向けた。
「菜穂」
「……」
自分でお願いしたくせに、緊張し過ぎて、思わず息を飲み込んだ。