彼の瞳に捕まりました!
「見たって、何を?」
呆れたように聞き返した私に、サトコちゃんは、
「えーーっ」
と、大きな声をだした。
「何、びっくりするじゃない」
「だって、だって、麻生さん知らないんですかっ!」
「だから、何の話よ」
「新入社員の中にすっごいイケメンがいるんですよ~」
「鼻息荒いよ、サトコちゃん」
「えっ!そんなことは今はいいんですっ。
麻生さん!?
麻生さんは気にならないんですか?
イケメンくんですよっ!イケメンくんっ!!」
益々鼻息を荒くするサトコちゃんに、
「年下興味ないし」
そう、冷たく言うと、
立ち上がり、デスクの下に置いてあった鞄を肩にかけた。
「サトコちゃん、それ直しておいてね。
セレブなおば様受けのいい話題にしてね」
彼女の掌の中で固く握りしめられた企画書を指さす。
「……はぁい」
「帰ってくるまでにちゃんとしといてね?
イケメンの新入社員の事はまた今度にしといてね」