彼の瞳に捕まりました!


「元気だったか?」

「なんとかやってます」

「親父さんの調子はどうなんだ?」

大沢さんと呼ばれた彼の言葉に、高瀬の顔が強張る。
そして―――

「麻生、先戻って準備進めてろよ」

と、私に指示をだすと、大沢さんとの距離をつめた。

そんな高瀬の行動に、ひっかかる物を感じながら、言われた通りにその場を後にした。

戻りながら、記憶を探る。

大沢と呼ばれた、カメラマン。
どこかで聞いた事のある名前だった。

部屋に戻ると、準備を終えた4人が、並べられた料理を前に、目を輝かせていた。

「奈穂ちゃん、見て。この料理、本当見て良し、食べて良しって感じじゃない?」

季節の物が彩りよく盛り付けられた、料理の数々。
佐久間さんによって見映えよく並べられたそれらは、見ただけで満足できるように思わせた。

「本当、素敵だね。
佐久間さんさすが」

「早く食べて見たいよね。
あれ?麻生さん、高瀬さんは」

紺野さんが周りをキョロキョロと見渡しながら、尋ねてきた。

「あ、庭で知り合いの人に会って話ししてるんだよ」

その言葉に反応したのはマサルくん。
彼は、短く悲鳴をあげながら、私に近づくと、

「女?男?
いや、そんなのどっちもダメ!ダメ!
ユキナリは私のなんだからっ」

と、必死な声をだした。
そんなマサルくんに苦笑いを浮かべると、佐久間さん達と料理の話しを再開させた。


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