彼の瞳に捕まりました!
「高瀬」
「あ?」
「さっき会った人……大沢さんって、どういう知り合い?」
「大沢さん」
「そう、ほら
あさかわの庭で声かけられてたじゃない?」
私の言葉に、高瀬は意地悪そうな微笑みを浮かべ、私を見つめた。
「気になるのか?」
「え?
いや、気になるっていうか……
どこかで聞いた事があるなぁって?」
しどろもどろに話す私に高瀬は、鼻で笑ったかと思うと、ゆっくりとダッシュボードに手を伸ばし、無造作に置かれたタバコを掴んだ。
ゆっくりとタバコに火をつけ、煙りを吐き出したかと思うと、
ため息をつくように言葉を発した。
「大沢憧(しょう)」
「え?」
「さっきの」
「大沢、憧…」
名前を呟きながら、記憶を探る。
いつか見たのどかな風景の写真。
鮮やかな花。
青い空。
それから―――
胸が痛くなるくらい、
真っすぐな瞳で、
こちらを見つめる。
戦場の少女。