彼の瞳に捕まりました!
3
高瀬の態度に疑問を持ったまま、時間だけが過ぎていた。
あさかわの原稿も書き終わり、今晩届ける約束になっていた。
あの日、高瀬が撮った写真は
あさかわの庭や料理をそのまま切り取ったかのように、繊細で色鮮やかなもので
部内での評判もすごくよくて、編集長は
「この間の経済誌の大沢憧が撮ったものより、ずっといいわ」
なんて、自信満々に話してた。
手元に置かれたその写真
高瀬がファインダー越しに見つめた、その世界。
それを見つめては
ため息が漏れた。
どうして、あの時高瀬は『お金』の為だなんて言ったのだろう。
高瀬が切り取った世界。
その世界を見る限り
お金なんてものを考えて写しとったものとは考えにくかった。