彼の瞳に捕まりました!


高瀬の態度に疑問を持ったまま、時間だけが過ぎていた。

あさかわの原稿も書き終わり、今晩届ける約束になっていた。

あの日、高瀬が撮った写真は
あさかわの庭や料理をそのまま切り取ったかのように、繊細で色鮮やかなもので
部内での評判もすごくよくて、編集長は

「この間の経済誌の大沢憧が撮ったものより、ずっといいわ」

なんて、自信満々に話してた。

手元に置かれたその写真

高瀬がファインダー越しに見つめた、その世界。

それを見つめては

ため息が漏れた。


どうして、あの時高瀬は『お金』の為だなんて言ったのだろう。

高瀬が切り取った世界。

その世界を見る限り
お金なんてものを考えて写しとったものとは考えにくかった。


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