彼の瞳に捕まりました!
「…さんっ、あそーせんぱ~い」
「えっ、あ……サトコちゃん。
何?」
「何?じゃないですよ~
そろそろ準備しないと間に合わなくなりますよ」
「え?準備?」
「やだなぁ。浅川社長に持って行くんですよね?
約束に遅れたらまずいんじゃないですか?」
サトコちゃんの言葉にハッとして、時計を確認すると、ここからぎりぎり間に合う時刻を針が指していた。
「わっ、
サトコちゃん、ありがとう」
立ち上がりながら、記事と写真の入ったファイルを鞄に押し込み。
奥のデスクで、パソコンにむかっている、編集長に声をかけた。
「編集長。行ってきます」
「あー、行っといで~」
彼女は顔を上げず、腕だけあげると、手の平をヒラヒラとさせた。