彼の瞳に捕まりました!
「珍しいもん、飲んでんだな」
突然、背後から聞こえた声に、思わず身体がびくついた。
そして、後ろから腕が伸びてきたかと思うと、自動販売機に小銭を入れ、なんの迷いもなく、商品のボタンを押した。
商品の落ちる音、私の手にあった炭酸飲料が引き抜かれたのは同時で、思わず引き抜かれていく炭酸飲料の缶を見つめて振り返った。
「泣くほど嫌いなのを何で買ったんだよ?」
呆れたような声に、返事ができない。
そんな私に、高瀬は手にした炭酸飲料を当たり前の様に飲み込むと、自動販売機を指差した。
「飲まないのか?」
高瀬が買ったのは、私が普段よく買っているオレンジジュース。
「え?」
「それなら飲めるだろ?ナホ」
いつまでも動こうとしない私に呆れたように笑いながら、高瀬はしゃがみ込むとジュースを取り出し、私の掌にのせた。
そして、そのまま私を見上げるように姿勢を合わせると、
「何を言われた?」
と、真剣な声を出した。