彼の瞳に捕まりました!
逃げるように、高瀬の部屋を後にし、通りでタクシーに飛び乗った。
ドキドキとうるさい心臓とは裏腹に冷めていく脳。
私、今また……
あの日みたいに
流されそうになった。
どうして?
なんで?
高瀬に触れられると、思考が止まってしまうのは何故なんだろう……
いつも、いつも、考える事を放棄して、高瀬にされるがままになって……
だけど、嫌じゃない。
そう、嫌じゃないんだ。
高瀬の熱に浮かされるのは嫌いじゃない……
むしろ、心地好さを感じている……様に思う。
って―――
思う。ってなんなのよ。
自分の事なのに、
思うって……
自分の事をわかってないにもほどがあるよ。
余りの情けなさに、思わずため息が漏れた。