彼の瞳に捕まりました!
目の前で、両手を合わせて私に頭を下げる男。
野生味溢れる、魅惑的な男。
耳をくすぐる声だって、低くて心地好い。
あんな噂がたくさん出回ってるくせに、
女の子との噂が絶えないのも……なんとなく頷ける。
そんな男。
「なぁ、ダメ?
麻生……ナホ」
「ナホ?」
「あれ、違った?
あんた、麻生ナホだろ?
あー、じゃあ
佐々木って知らない?佐々木美和」
「美和ちゃん?」
「そう、その佐々木。
佐々木にこの間教えてもらったんだけど……漢字、こう書くんだよな」
そう言いながら、彼は自分が座っていた席に置いてあった鞄を持ってくると、中からノートとペンを取り出し、私の名前を書きはじめた。
麻
生
菜
穂
「ナホ、だよな?」