彼の瞳に捕まりました!
「で、どうだったの?」
ついたての奥に置いてある、ソファーに腰を下ろし、持っていたシガレットケースから細いタバコを一本取りだしながら編集長が問うた。
「あさかわの件ですよね」
「……」
返事の変わりに彼女は視線を投げ、ゆっくりと煙を吐き出した。
「多少ダメ出しされました。料理の説明にもう少し印象的な言葉が欲しいと。
写真については、特に何もありませんでした……けど」
「そう……じゃ、麻生が頑張るしかないわね」
「はい」
「で、どうだったのよ?」
「え。と……何が?」
「社長どんな感じだったのよ?」
「あっ、と……ですね。全体的には好意的な印象でした。
季節限定プランなどが出来た場合は、またお願いしたい。って話していただけました」
「そう」
タバコを吸いながら、話しを聞く編集長の表情は思っていたより冴えなくて、背中に変な汗が流れる。