彼の瞳に捕まりました!


さっきまでと同じ作業を再開する。
高瀬が撮った写真の中から、よさ気なものをピックアップしていく。
ただそれだけの作業。
なのに――――

気持ちがうまく乗ってくれない。
そっと立ち上がると、邪魔にならないようにスタジオから抜け出した。


廊下のはしに置かれたベンチに腰をおろすとため息が漏れる。

気分がうまく乗らない理由はわかってる。

浅川社長からのメール。
それから、勝手に返事をした高瀬。

自分の気持ちなんて、まるで無視されたような感じで、嫌だった。

私って………
情けない。

「本当、スタジオって息詰まるわよねぇ」

ため息交じりの言葉とともに、ベンチに腰を下ろしたのは、

「マサルくん?」

「はい、どうぞ」

差し出されたてには、オレンジジュースが載っていた。

「ありがとう」

「いーえ」

マサル君はそっけなくそう返事をすると、持っていた煙草に火をつけた。
ゆっくりと息を吸い込みながら煙草に火をつける動作。
その動作から、目が離せない。
そんな私に気がついたのか、マサル君はふぅぅっと煙を吐き出しながら、私をじっと見つめた。

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