彼の瞳に捕まりました!
「麻生ちゃんはさ、真っ直ぐよね~」
「え?」
「真っ直ぐで、真面目で……バカな事なんてしたことなさそ」
「そ、んな事……」
「酔っ払ってお持ち帰りとか、ナンパされてそのままとかさ~一回もないんじゃない?」
笑うのを堪えるように、マサル君は肩を震わせながら言うと、残り少なくなった煙草を吸い込み、灰皿へと押し付けた。
「麻生ちゃん、難しく考え過ぎる事ないんじゃな~い?」
「何が?」
「別にさ、会って食事する位どーって事ないんじゃない。って事」
「え?えっ、な、何の話し?」
「さっきの話し」
妙に自信満々に話すマサル君の顔が見られない。
そんな私にマサル君は、
「やっぱりねぇ」
と、笑った。
「マ、マサル君?」
「なぁに?」
なんだか楽しげに笑いながら、マサル君は私の顔を覗きこんだ。
「顔、赤い~。うふふ~麻生ちゃんってやっぱりかわいい」
「な、何言ってんの!」
「あら~褒めてんだから、素直に喜ばなきゃ~」
マサル君の笑顔に、とりあえず苦笑いで答えていると、
「いつまでもサボってんじゃねえよ」
と、冷たい高瀬の声が廊下に響いた。