彼の瞳に捕まりました!
「いやーん、ユキナリ。怒っちゃいや~」
甘えっ子のような声をあげて、マサル君は立ち上がると、スタジオの入り口で寄り掛かってこちらを見つめる高瀬に小走りで近づく。
その後ろを着いていくと、高瀬は私の顔をみて呆れたようにため息をついた。
「仕事きっちり出来ねえなら辞めちまえ」
「ごめん」
高瀬の言葉に謝る事しか出来ない。
そう、まずは仕事だ……
中途半端はダメだ。
いつでも真剣に取り組めなければ、私の代わりなんていくらでもいるんだ。
それは、サトコちゃんだって例外ではなくて……
「次ブツ撮りだろ?さっさと用意してくれよ」
「うん」
高瀬の脇を通り抜けて、スタジオの中で休憩していた紺野さんに頭を下げた。
「ごめんなさい」
「何が」
「ううん。今日はこれでおしまいだから、お疲れ様でした。明日はロケだから、現地で待ってますね」
私の言葉に紺野さんは笑顔で頷くと、立ち上がりスタジオを後にした。