彼の瞳に捕まりました!

……………
………


ん?
なんだろ?

ふわふわしてる。

あ、そうか。私、夢見てるんだ?

そっか。
そうだよ。じゃなきゃ、こんなにふわふわしてる訳ないよね?

にしても、さっきからほっぺの辺りがくすぐったい。

ゆっくりと目を開ければ、真っ黒い男性が私の頬をやんわりと撫でていた。

「だぁれ?」

重い唇を開いて、問い掛ける。
真っ黒だけど、不思議と恐怖心は襲って来なかった。
むしろ安心感の方が強く感じて、

「だれなの?」

再度尋ねる私に彼は小首を傾げると、顔を近づけそっと唇を重ねた。
そっと触れているだけのキスのはずなのに……
何度も角度を変えて、
ゆっくりと深くなっていく口づけ。
彼の舌が口内のあらゆる所を弄って、
舌を絡めとられる、そんな錯覚に陥る。

「んっ……ふぁ」

夢なのに、ヤケにリアルに感じる。
リアルなのも『夢』だからかな?

でもこのキス、すごく気持ちいい。
身体の奥の方から何かが湧き出てきそう。



それは、
まるで―――



………
……………


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