彼の瞳に捕まりました!
「っーうぅぅ」
頭の内側からガンガンとハンマーで叩かれている、そんな気がする。
原因は絶対に昨夜の日本酒。
浅川社長に注がれるままに飲んでしまったそれに今更ながら恨みが出てくる。
って、私、注がれるばかりで社長に注いだ記憶がほとんどない……
そんな記憶まで舞い戻って、自分が情けなくなった。
「はぁぁーもうっ」
「あーん、ごめんなさいっ。せっかくのお休みなのに麻生先輩呼び出す事になって、本当にごめんなさい~」
まるで子供みたいに甘えた声をあげ、隣のデスクでPCと睨めっこをしていたサトコちゃんが、私のため息にそう大声をあげる。
甲高い彼女の声が鼓膜を突き抜け脳内で共鳴して、二日酔いの頭にガンガンと響きまわった。
「ち、違う……サトコちゃんについたため息じゃない……だから、声小さくして……」
「あ、ごめんなさい。だって~昨日麻生先輩が帰ってから、私のせいだってみんなに責められちゃって~」
いや……それは仕方ないんじゃない?
逆に言われなくなった時の方が怖いと思うよ。
なんて言えず「社会人だもん、しょーがないんじゃない?」なんて、適当に返事をして、頭をさすった。
第一、昨日は先輩の私がきちんと確認しなかったからだろ。
って、こっちがとばっちりを被ったんだから、その位でいちいち甲高い声で騒がないで欲しい。
今日だって、昨日の分の仕事をわざわざしに休日出勤しているのだ。
「麻生先輩……」
「んー何?」