彼の瞳に捕まりました!
サトコちゃんは、PCの画面から目を離すことなく生返事をした私にそっと椅子を近付けると、かわいらしいピンク色のグロスでツヤツヤになっている唇を耳元に寄せた。
「昨日、お見合いパーティだったって、ホントですか~?」
この部屋に未だに残る緊迫した空気なんて、一切気にする様子もないサトコちゃんの質問に、思わず顔を見つめた。
「どんな人たちが集まってたんですか?
医者とか、弁護士。外資系とかですか?先輩クラスだとやっぱり色々条件は高めな人ですよね~」
「……」
「で、どうでした?いい感じの人いました?
いいなぁ、先輩、干物ですけど、見た目はすごい美人ですもんね~。
すっごくモテちゃったんじゃないですか?
サトコなんてぇ~盛って盛ってやっとこんなですよ~先輩の顔とか超うらやましすぎる~」
バッサバッサ、そんな音がしそうなつけまつげを強調するように瞬きを繰り返す。
黙って聞いていれば、要所要所で馬鹿にしているようにしか感じない。
「サトコちゃんの素顔は『能面』だものね。
気をつけないと、般若の顔になっちゃうからね」
目の前で、厭味ったらしくほほ笑むサトコちゃんに負けじとほほ笑みながら、これ以上ない嫌味を言い返して立ち上がる。